仏教の伝統行事の一つとして知られるお彼岸は年に2回、春分の日と秋分の日を真ん中にしてその前後を合わせた計7日間が彼岸になります。
2021年春のお彼岸は、3月17日から3月23日なので、この時期を迎えるとお供え物(ぼたもちやおはぎ)の準備で慌ただしくなるかもしれません。
しかし、間違えないようにしてくださいね。
春の彼岸でお供えしたり食べたりするのは「おはぎ」ではなく、「ぼたもち」なのです。
そもそも「ぼたもち」と「おはぎ」の違いは?
ぼたもちとおはぎは、基本的には同じ和菓子です。
使う食材やレシピなどは、家庭や地域ごとに異なるようですが、炊いたもち米に餡をたっぷり包むという点では一致しています。
もち米のみでも作れるのですが、すぐに固くなってしまうので、うるち米などを使っている人も少なくありません。
また、餡を使ったものが「ぼたもち」や「おはぎ」ではありません。
・きなこ
・ごま
など、色々な種類が作られています。
子供の頃はいくつも食べていたという記憶がある人も多いのではないでしょうか?
しかし、不思議なことにお彼岸の季節によって、名称が異なってしまうのです。
春のお彼岸は「ぼたもち」
「ぼたもち」という名前は、牡丹という花が由来と言われています。
牡丹は、春に咲く落葉低木の一種で開花時期になると大きな花をいっぱいに咲かせます。
この牡丹から、「ぼたんもち」となり更には「ぼたもち」なったと言われています。
実際、ことわざの中にも「ぼたもち」は出てきますよね。
・「棚から牡丹餅」
・「開いた口に牡丹餅」
ちなみに牡丹は、一般的には春のお彼岸頃に咲く花として知られていますが、春と秋に咲く品種や冬に咲く品種などもあります。
また、餡の原料となる小豆は秋に収穫されるので、春の彼岸の頃には皮が硬くなってしまいます。
その為、春のお彼岸に作る「ぼたもち」の餡は、豆の皮を取り除いた柔らかい「こしあん」が一般的です。
「おはぎ」は秋のお彼岸
一方、「おはぎ」は秋のお彼岸で使われるお供え物です。
秋に咲く萩の花が由来と言われていますが、どちらかというと「ぼたもち」より「おはぎ」の方が馴染みある言葉かもしれません。
「ぼたもち」と違って、収穫期の小豆を使えることから、使用する餡は食感を楽しめる「つぶあん」が一般的です。
また、夏と冬は更に別の名称で呼ばれます。
あまり馴染みのない名称かもしれませんが、夏は夜船(よぶね)、冬は北窓(きたまど)とです。
「ぼたもち」以外のお供え物は
お彼岸になると、「ぼたもち」や「おはぎ」以外にもお供え物を準備することがあります。
全て準備する必要はないと思いますが、故人への敬意や感謝の気持ちを伝える為にも、覚えておくとよいでしょう。
落雁(らくがん)
色鮮やかな甘い甘いお菓子です。
原料となっているのは穀物粉ですが、それに水あめや砂糖を入れているので子供が喜びそうな甘いお菓子に仕上がっています。
よく見るのは花の形をした落雁ですが、今では地域によって様々な形の落雁が作られています。
おじいちゃんやおばあちゃんの家の仏壇を改めてみると、見つけることができると思います。
果物
スーパーなどに行くと、かごに入った果物が売られていると思います。
一般的には5,000円くらいと高価ですが、お供えには適した一品です。
日持ちしない果物は、お供え用としてはあまり向いていません。
もし、単品で購入する時は、メロンやリンゴのにような日持ちする果物を選ぶようにしましょう。
好きな食べ物
ここでいう好きな食べ物というのは、故人が好きだった食べ物です。
生前、「そういえば〇〇が大好物だったなぁ」と思い当たる食べ物が分かるようなら、その食べ物をお供えとしても問題ないでしょう。
もちろん、お酒やジュースといった飲み物でも大丈夫です。
お花
一般的には仏花として知られる菊が多く用いられます。
一番無難な選択だと思いますが、必ずしも菊でないといけない訳ではありません。
季節ごとに美しく咲く花や故人が生前好んでいた花でも大丈夫です。
ただし、トゲのある花や毒のある花などは、自ら選ばない方がいいかもしれません。
まとめ
春のお彼岸にお供えするのは「ぼたもち」、秋のお彼岸は「おはぎ」です。
どちらも甘くて美味しいわけですから、ついつい何度も手が伸びてしまいますよね。
お彼岸になると、お供え物の準備やお墓のお掃除など忙しくなると思います。
少し落ち着いたかなと思った時間に、故人を思いながら「ぼたもち」とお茶を頂いてみましょう。