
5月といえば母の日。
そして母の日のプレゼントとして定番の「カーネーション」。
他にもバッグや衣類、スイーツや一緒に旅行に行ったり食事をしたりと、いろいろな贈り物があります。
でも「母の日」と言ったら、一番にカーネーションを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
さて、どうして「母の日=カーネーション」が定番になったのか、ご存知でしょうか。
5月が近づくと、物心ついたときから-例えば幼稚園や保育所などでは、母の日のプレゼントとして似顔絵を描いたりしますよね。
完成した絵にはよく折り紙などで出来たカーネーションがデコレーションされてたり、あるいは生花または造花のカーネーション1本を添えたりします。
だから、ほとんどの人が「あぁ、母の日だから、カーネーションだね」とすんなり受け入れているのではないでしょうか。
多くの人が疑うことのない「母の日はカーネーション」について、どんな裏事情があるのか探ってみました。
母の日にカーネーションを贈る理由
「母の日の由来」で検索すると、必ず出てくる女性がいます。
その名は「アンナ・ジャービス」。
彼女の活動がアメリカに母の日を公式な記念日として根付かせました。
また母の日を祝うとき、カーネーションは必須となりました。
どうしてそうなったのか。まず簡単にアメリカの母の日制定までの歴史を見ていきましょう。
アメリカの母の日は亡き母を偲ぶことから始まった
彼女は、アメリカにおいて、「母の日」を公式の記念日とするために、積極的に活動した女性です。
そもそもアンナが「母の日」を記念日として、広く世間に浸透させようとしたのは、彼女の母を称える時間を持つためです。
アンナの母「アン・ジャービス」は、戦争や病気で8人もの子供を失いながらも、女手一つで子ども4人を育てながら、精力的に衛生面の改善や母親教育に奔走した社会活動家でした。
南北戦争が起こったときは、北軍・南軍を問わず傷ついた兵士に救いの手を差し伸べ、戦後は両軍の友好の輪を広げる機会作りなども積極的に行っています。
そんなアンナの母は1905年にこの世を去りましたが、アンナは尊敬していた母の死を悼み「母が生きているうちに感謝の気持ちを伝えよう!」と活動を始めたのです。
その運動は瞬く間にアメリカ中に広がって、1914年に母の日が制定されることになりました。
カーネーションはアンナ母が好きだった花
アンナ母の死から2年後、アンナは初めて母を偲ぶミサを行いました。
場所は、アンナ母が生前、日曜学校の教師を務めていたウェスト・ヴァージニア州グラフトンのアンドリュースメソジスト監督教会(現:国際母の日教会)。
アンナは参列者に、フィラデルフィアの百貨店王ワナメーカーの援助を受けて、白いカーネーション500本を配り、彼らはその花を胸に刺して式典に参加しました。
実はこの白いカーネーションは、アンナ母が大好きな花だったんです。
そしてこのカーネーションを、アンナは母の日のシンボルにしました。
それが世界中に広まって、「母の日=カーネーション」が浸透したわけです。
カーネーションが持つ意味
さて、母の日のシンボルであるカーネーションは、アンナ母の好きな花だったわけですが、アンナ母はどうしてカーネーションが好きだったのか、それには理由があったようです。
その理由について詳しく見ていきましょう。
カーネーションはキリスト教で重要な意味を持つ花
カーネーションの起源は古代ギリシャまで遡ることができます。
一般に広まったのは16世紀頃と言われ、品種改良も進んでこの頃にはすでに3種類のカラーがあったそうです。
カーネーションの名前の由来は、色が似ていることからラテン語の「肉の色」を表す「カルニス」から来ているとする説と、イギリスの戴冠式(コロネーション)でカーネーションの花冠が使われたからとする説など諸説あります。
そしてこのカーネーションは、キリスト教に置いて重要な意味を持っています。
というのも、イエス・キリストが磔にされたとき、聖母マリアの流した涙がカーネーションになったという伝説があり、この花は「キリストの受難」の象徴を表しているとされているからです。
さらに、白い色には純潔、純粋、神聖という意味があり、敬虔なメソジストだったアンナ母は白いカーネーションを愛したのでしょう。
そしてアンナ自身も、カーネーションは枯れても花びらを落とさないことから、その姿は子供を抱きしめる母親と同じだとして、カーネーションを母性愛の象徴としました。
参考:National Geographic「7 Things You Don't Know About Mother's Day's Dark History」
本当は白いカーネーションだけだった
アンナが最初の記念式典で、参列者に白いカーネーションを贈ったのは、それがアンナ母を表す象徴だったからですが、アンナが望んだことは、誰もが白いカーネーションを身に着けて、自分の母親を敬うことでした。
そのため、母の日になると白いカーネーションは瞬く間に売り切れてしまいました。
そこで花屋は「元気なお母さんには赤いカーネーションを」「亡くなったお母さんには白いカーネーションを」というように、色にバリエーションを付けることで、カーネーションの売上アップを狙ったと言います。
そういった商業主義が、アンナをアンチ母の日行動に走らせる原因にもなっていったわけですが、しかし、今ではその色の持つ意味は花言葉と共に広がってしまいました。
参考:Mental Floss「The Founder of Mother's Day Later Fought to Have It Abolished」
母の日にふさわしいカーネーションは何色?
【カーネーションの基本】
学名:Dianthus caryophyllus
科名 / 属名:ナデシコ科 / ナデシコ属(ダイアンサス属)
和名:オランダセキチク、オランダナデシコ
誕生花:1月
16世紀頃には3色しかなかったカーネーションは、現在では赤や白だけではなく、ピンクや黄色などいろいろな色がありますよね。
すでに白いカーネーションは「亡くなった母に」という意味が浸透してしまっているため、あえてこの色を贈る人はいないでしょう。
しかし、それではどの色のカーネーションが現代の母の日にふさわしいのでしょうか。
カーネーションが持つ花言葉を色別で一覧にしてみました。
カーネーションの色 | 花言葉 |
---|---|
赤色 | 「母への愛」「母の愛」「純粋な愛」「真実の愛」 |
深い赤色 | 「私の心に哀しみを」「欲望」 |
ピンク色 | 「感謝」「気品」「温かい心」「美しい仕草」 |
黄色 | 「軽蔑」「嫉妬」「愛情の揺らぎ」 |
青色 | 「永遠の幸福」 |
オレンジ色 | 「熱烈な愛」や「純粋な愛」 |
紫色 | 「誇り」や「気品」 |
参考:日比谷花壇「なぜ母の日にカーネーションを贈るの?カーネーションの色の意味と由来」
数ある色のカーネーションの中で、白を除いて注意したい色は3つ。
まずは深い赤色と黄色です。
贈り物としてはあまり良い意味を持っていないので、この2色のカーネーションは避けた方が無難といえるでしょう。
もう1つは、高貴な色とされる紫色です。
一見良さげに見えるのですが、実は白いカーネーションと同じ意味を持つ面も持ち合わせているので、避けた方が無難かも。
母の日の贈り物として、フラワーアレンジメントや花束を検討しているのであれば、華やかな感じにしたい、あるいはシックな感じにしたいというイメージにこの3色は欠かせません。
しかしこの色のカーネーションを避ければいいだけなので、この3色を足したい時は、カーネーション以外のお花を選ぶようにしましょう。
もちろん花屋さんおまかせにすれば、問題ないお花を選んでくれることでしょう。
カーネーション以外の花でもいいの?
母の日の贈り物の定番「カーネーション」ですが、中にはお母さんがカーネーションが苦手ってこともありえます。
そんな時は、お母さんの好きお花を贈りましょう。
別にカーネーションにこだわる必要はありません。
では母の日に贈る花として、カーネーション以外にどんなものがあるか見ていきましょう。
紫陽花(アジサイ)
開花時期が5月から7月頃である紫陽花(あじさい)も、最近では母の日のプレゼントとして変わった種類の紫陽花がよく販売されています。
色も水色・青・紫・ピンク・白などいろいろあるので、どれにしようかと選ぶ時間も楽しめそう。
「紫陽花って庭に植えてある」イメージが強いですが、最近は鉢植えタイプのものもたくさんあり、プレゼントにぴったりです。
薔薇(バラ)
春から初夏にかけて咲く春バラも、大きさもや色、香りともに贈り物にぴったりです。
その優雅さと気品、さらに女性らしい香りから「花の女王」とも呼ばれるバラは上品で豪華な花なので、プレゼントに最適です。
胡蝶蘭(こちょうらん)
鮮明な色をした独特の形の美しい花で、部屋に飾るとぱっと華やかになります。
お手入れはそれほど難しくなく、温度管理がうまくいけば2か月程は花を楽しむことができます。
ユリ
開花時期が5~8月で、白色がポピュラーですが赤やピンク、黄色、オレンジなどの色もあり、新鮮なうちはとても良い香りがします。
また、ユリは、聖母マリアに捧げられた花ということもあり、母の日にふさわしい花です。
クレマチス
「つる性植物の女王」とも言われているように花が大輪で高級なイメージがあります。
ガーデニングが趣味のお母さんに贈ると喜ばれる事が多いです。
鉢植えの花なら長く楽しめる
母の日に花をプレゼントする方法は、花束にしたりアレンジメントにしたりすることが多いと思います。
しかし、せっかく花を贈るのであれば、いつまでも楽しんでもらいたいですよね。
切り花ですとどうしても1週間ほどで処分せざるを得ないですが、鉢植えにすればお手入れ次第で長期間花を楽しむことができます。
「でも、母の日に鉢植えの花をあげてもいいの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
病気のお見舞いに鉢植えの花はNGですが、母の日には鉢植えの花でもOKです。
では、お手入れが簡単で母の日にふさわしい鉢植えをいくつか紹介します。
ミニバラ
病気に強いので育てやすく、それほど手をかけずとも毎年きれいな花を咲かせます。
温度に左右されないため、室内でも庭でもどちらでも育ちますが、毛虫などがつきやすいので虫が苦手なお母さんには室内で楽しむようにすすめましょう。
ミニ胡蝶蘭
蘭というと「お手入れが大変!」というイメージがありますが、胡蝶蘭はお手入れが楽で長持ちします。
ただし、寒さには弱いので冬の寒さ対策だけはしっかりと行わなければなりません。
それ以外の時期は、レースカーテン越しに日光を当てる程度で大丈夫です。
デンドロビューム
花のお世話をする自信がない人におすすめなデンドロビュームは、水をやりすぎると枯れてしまうため、1週間~10日に一度、霧吹きで水やりをするだけでOKです。
風通しがよく日当たりのいい場所に置くようにしましょう。
ガーベラ
初心者にも育てやすく開花期間が長いので花をゆっくり楽しめます。
冬になると一度枯れますが、春になるとまた花を咲かせてくれます。
ただし、害虫に弱いので、特に梅雨の時期など薬をかけるなどの手間は必要になります。
まとめ
母の日にカーネーションが贈られる理由は、母の日の必要性を世の中に訴えたアンナ・ジャービスが、亡き母に捧げたのが白いカーネーションだったからです。
いつしか白いカーネーションは亡き母へ捧げる花となり、今では赤いカーネーションがメインに贈られるようになりました。
ただどんな色をしていようと、カーネーションはお母さんへ日ごろの感謝の気持ちを表すシンボルには変わりありません。
もちろん、カーネーションが苦手なお母さんだっていますから、プレゼントとしてこだわる必要もありません。
お母さんの好みに合わせてすてきな花を選んでくださいね。
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