少量でも死に至る危険性があるフグですが、それでも食べたくなる魅力的な食材です。
美味しいだけではなくて、栄養価も高いので誰にでもおすすめできます。
フグ毒には恐ろしさを感じますが、プロに任せれば安心して堪能できる高級食材です。
実は縁起の良い食材でもあるフグの危険性と魅力をお伝えします。
フグ毒の危険性
もし間違ってフグ毒を体内に取り込んでしまった場合、4〜6時間で死に至ります。
では、その間にどのような症状が出るのかを詳しく見ていきましょう。
まず、フグ毒のある部位を食べると、早くて20分くらい、遅ければ3時間ほどで口の周りや下の先、指先などにしびれを感じるようになります。
さらに、頭痛や腹痛に加えて、嘔吐が続くなどの症状が現れる可能性があり、うまく歩けなくなる可能性もあるようです。
そうしている内に、知覚が麻痺し始め、言葉がうまく話せない、呼吸が苦しくなるなど症状がどんどん悪化していきます。
血圧が急激に下がることもあるようです。
その後、全身に麻痺が広がり、指先一本まで動かすことができなくなります。
死の直前まで意識ははっきりしていて、死の直前で意識がなくなります。
フグ毒には解毒剤などはなく、人工呼吸器を使うなどの対処療法しかありません。
フグを食べた後で、異変を感じたときはすぐに病院で診断を受けてください。
フグ毒ってどんなもの?
フグ毒はテトロドトキシンという名称の毒です。
主に肝臓や卵巣に毒がありますが、フグの品種によっては皮や筋肉にも毒があるフグも存在しています。
加熱してもフグ毒を分解することはできません。
青酸カリの10倍と言われるフグ毒は、たとえ少量であっても死に至る可能性がありますので、免許を持たない人が調理するのはやめましょう。
なお、平成20年〜29年の間に全国で6人のフグ毒による死者が出ています。
中毒になった人は、自分が釣ってきたフグを調理した人がほとんどです。
繰り返しになりますが、フグの調理は専門家に任せてください。
それでも食べたいフグの魅力
フグを食べることは死と隣合わせだったのに、安全に食べられるように調理法が確立したのは、フグが美味しいからでしょう。
中でも、フグの王様と呼ばれるトラフグは一度は食べておきたい高級食材です。
トラフグは大きいもので体長80センチにもなりますが、美味しいと言われるサイズは35センチほどで2〜3キロほどのものです。
あまり大きすぎると大味になってしまうと言われています。
トラフグの栄養価
フグの美味しさの秘密は、昆布や鰹節に含まれるのと同じ旨味成分を持っているからです。
日本人が好む成分が美味さの秘密です。
しかし、フグの魅力は美味しいだけではなく、豊富な栄養価にもあります。
フグにはカルシウムとビタミンDが含まれています。
カルシウムは骨を作るのに欠かせない成分ですが、ビタミンDと一緒に摂取することで効率が良くなると言われています。
また、タウリンが豊富に含まれているので、疲労回復にも効果的です。
さらに、ハリと弾力のある肌を作るのに欠かせないコラーゲンを豊富に含んでおり、エネルギーの分解に使われるナイアシンという成分もあります。
実は、ナイアシンはエネルギーの分解だけでなく肌をキレイにする成分でもあるので、フグは美容と健康に良い食材なのです。
定番のフグ料理
フグと聞いて真っ先に思い出すのは、やはりフグ刺し「てっさ」ではないでしょうか。
透けるほど薄くても、しっかりとした弾力のある食感がフグ刺しの魅力です。
また、フグのちり鍋「てっちり」も定番料理です。
火を通すこと食感が変わり、てっさとは違った良さがあります。
また、フグの出汁が鍋の中に溶け込んでいるので、ちり鍋の最後に味わう雑炊は格別です。
フグは身だけでなく皮も楽しめます。
湯引きした皮は筋肉とは異なる弾力を持っていますし、ゼラチン質から作られる煮凝りはコラーゲンをたっぷりと含んでいるので、女性に味わって欲しいおすすめの料理です。
この他にも、ヒレ酒や白子などフグの魅力はたくさんあります。
食べられる部位が他の魚よりも少ない分、食べられる部分を余す所なく味わい尽くしましょう。
フグの旬の時期
フグは12月から2月が旬の食材です。
3月から7月に産卵するので、産卵前の冬に最も美味しい時期を迎えます。
しかし、フグは天然ものだけでなく、養殖ものを味わうことができます。
養殖されたフグは年中通して食べられるので、好きなときに楽しめます。
なお、最近では、夏にBBQで焼きフグを楽しむ人も増えているようです。
季節を通して楽しめるようになったフグを夏の海で味わうのも楽しいでしょう。