
日本各地には数多くのご当地ラーメンが存在します。ラーメンにあまり詳しくない方でもよく耳にしたことはあると思います。
北は北海道から南は沖縄県まで、また、日本三大ご当地ラーメンといわれる有名なものから、ラーメン好きの人以外には馴染みのない一風変わったものまでご紹介します。
※ご当地ラーメンは各地に存在し数が膨大なため、すべてを紹介することはできませんので予めご了承ください。
ご当地ラーメンとは
ご当地ラーメンとは、主に昔からそれぞれの地方に根付いたラーメンで、地域の名称がついているものが多いです。日本三大ご当地ラーメンと言われている札幌ラーメン、喜多方ラーメン、博多ラーメンなどがわかりやすい例です。
ご当地ラーメンの中には、その地域の特色が現れているものもあります。例えば長浜ラーメンは、元々は市場関係者向けであり、競りの合間に食す人のために提供時間を短くするため、素早く茹でられる極細麺が使用されたという説があります。
もはや定番!各地のご当地ラーメンを紹介
それでは各地のご当地ラーメンを紹介します。有名なものはインスタントラーメン、カップラーメン、冷凍ラーメンなどの形で商品化されているものも多くあるので、気になったご当地ラーメンがあればぜひ購入して食べてください。
北海道・東北
北海道:札幌味噌ラーメン

写真:ようこそ札幌観光写真ライブラリー(https://www.sapporo.travel/sightseeing.photolibrary/)より引用
味噌味が代表的なので「札幌味噌」と書きましたが、札幌ラーメンとしては醤油味や塩味もあります。また札幌味噌ラーメンは日本初の味噌ラーメンと言われています。日本三大ご当地ラーメンの1つです。
青森県:津軽煮干しラーメン

写真:青森県観光情報サイトAmazing AOMORI(https://aomori-tourism.com/)より引用
岩手県:大船渡さんまらーめん

写真:大船渡市観光サイトおおふなとりっぷ(https://www.city.ofunato.iwate.jp/site/ofunatrip/)より引用
さんまをスープに使用したり、すり身団子にしてトッピングしたり、さんまのみりん干しが丸ごとトッピングされていたりと、様々な形のあるご当地ラーメンです。
山形県:赤湯辛味噌ラーメン

写真:筆者撮影
味噌ラーメンですが起源は札幌味噌ラーメンから来たものではなく、売れ残ったスープに味噌を足して味噌汁代わりに飲んでいたものを試行錯誤した結果誕生したものとなります。
福島県:喜多方ラーメン

写真:筆者撮影
関東
茨城県:スタミナラーメン

写真:観光いばらき(https://ibarakiguide.jp/)より引用
またスタミナラーメンは「冷やし」もあり、冷水でしめたモチモチの太麵の上に直接熱々のあんを乗せるものです。「ホット」と「冷やし」を選べるのもスタミナラーメンの特徴の1つです。
栃木県:佐野ラーメン

写真:佐野らーめん会公式ホームページ(https://sanoramenkai.jp/)より引用
昭和初期に繊維業が盛んな佐野市ではラーメンの出前を利用することが多く、毎日食べても飽きないようにあっさりした味のラーメンになったと言われています。
千葉県:勝浦タンタンメン

写真:熱血!勝浦タンタンメン船団(https://katsutan.jp/)より引用
漁業が盛んな勝浦で冬に漁業関係者の冷えた体を温める料理として定着されてきたご当地ラーメンです。
東京:八王子ラーメン

写真:八王子市公式シティプロモーションサイト(https://www.city.hachioji.tokyo.jp/citypromotion/index.html)より引用
ラードが加わることで玉ねぎの辛みを抑え、スープの熱も加わることで玉ねぎの甘みを引き出しています。
神奈川県:横浜家系ラーメン

写真:Tokyo Day Trip:神奈川県公式観光情報サイト(https://trip.pref.kanagawa.jp/ja)より引用
スープの味の濃さ、脂の量、麺の硬さをサービスで調整してくれる店舗が多いのも特徴です。また、ライスも一緒に食べることを推奨しています。
中部
新潟県:燕背脂ラーメン

写真:筆者撮影
燕市は金属産業が盛んで職人たちが出前でラーメンをとることが多く、その際に麺が伸びにくく腹持ちのいい太麺、ラーメンが冷めないように背脂でスープ表面をコーティングする工夫をしたことで誕生したと言われています。
富山県:富山ブラックラーメン

写真:とやま観光ナビ(https://www.info-toyama.com/)より引用
長野県:王様中華そば

写真:日本ご当地ラーメン総選挙(https://www.ramenshow.jp/gr/)より引用
人気店の味を復活させたメニューですが決して1店舗でしか味わえないものではなく、長野県内の複数のラーメン店で食べることができます。
岐阜県:高山ラーメン

写真:筆者撮影
一般的なラーメンはどんぶりでかえしと出汁を合わせてスープにするのに対し、高山ラーメンでは寸胴や鍋で取ったスープに直接醤油などを入れて煮込むことで作られています。
愛知県:台湾ラーメン

写真:筆者撮影
辛さを抑えたものは「台湾ラーメンアメリカン」(アメリカンコーヒーが由来)というメニュー名になるそうで、もはやどこの国の料理なのか混乱しそうですね。
近畿
京都府:京都ラーメン

写真:食べログ(https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260303/26017870/)より引用
豚骨や豚肉ベースの濃口醬油味スープのもの、鶏ガラと野菜をドロドロになるまで煮込んだスープのもの、鶏ガラベースのスープに大量の背脂を加えたものの3種類です。スープは3系統に分かれていますが基本的に麺は中太ストレート麵で、九条ネギを使用しています。
大阪府:高井田系ラーメン

写真:国道メシ(https://kokudoumeshi.jp/)より引用
高度経済成長の時期に鋳鉄工場や町工場が多くあった大阪市の東部や東大阪市で、労働者の要望でどんどん味が濃くなっていき、現在の醬油の主張が激しい濃い味に至ったと言われています。
兵庫県:播州ラーメン

写真:にっぽんまんなか紀行(西脇市観光物産協会)(https://www.nishiwaki-kanko.jp/)より引用
細めの縮れ麺にチャーシューやネギなどのシンプルなトッピングが乗った、後味あっさりのラーメンです。
奈良県:天理スタミナラーメン

写真:奈良グルメ図鑑(https://nara-gourmet.com/)より引用
白菜、にんにく、ニラ、人参、豚肉などを炒め、辣醤や豆板醤などで辛みをつけ、麺の上からどんぶりいっぱいに乗せて提供されます。
和歌山県:和歌山ラーメン

写真:和歌山県公式観光サイトわかやま観光(https://nara-gourmet.com/)より引用
1つは濃い茶色の見た目のわりにあっさりしている醤油系、もう1つはコクのあるまろやかな豚骨醬油系です。どちらもストレート麺で、トッピングにはチャーシューやネギなどオーソドックスなものの他にカマボコが乗っています。
中国・四国
鳥取県:鳥取牛骨ラーメン

写真:鳥取市観光サイト【公式】(https://www.torican.jp/)より引用
牛独特の香りや甘み、旨味のあるスープは牛骨のコクがありながら飲み干してしまうほど後味がさっぱりしています。スープだけでなくチャーシューにも牛肉を使用している店舗もあります。
広島県:尾道ラーメン

写真:筆者撮影
またこの背脂ミンチには店舗ごとに個性が出ており、揚げたりネギで香りづけしたりなどの工夫がされています。
徳島県:徳島ラーメン

写真:徳島県観光情報サイト阿波ナビ(https://www.awanavi.jp/)より引用
トッピングは店舗にもよりますが、チャーシューではなく甘辛く似た豚バラ肉を乗せ、卵はゆで卵でなく生卵を落とすのが主流になっています。また徳島ではラーメンをご飯のおかずとしている人が多く、白ご飯を注文できる店舗が多いです。
愛媛県:今治ラーメン

写真:【公式】今治ラーメン|瀬戸内海産の魚介を使った愛媛県今治市のご当地ラーメン(https://imabariramen.com/)より引用
地元の食材にこだわっていて、伊予地鶏のチャーシュー、今治特産のすまき、来島海峡の海苔、島レモン等がトッピングされています。麺はあっさりめのスープに合う細めの縮れ麺、そして塩はもちろん地元の名産である伯方の塩を使用しています。
高知県:鍋焼きラーメン

写真:須崎市ホームページ(https://www.city.susaki.lg.jp/)より引用
生卵はすぐに崩したり、崩れないように鍋底に沈めて最後に食べたり、はたまた鍋の蓋を器代わりにして卵を移し、すき焼きのように麺を絡めながら食べたりと、様々な楽しみ方があります。
九州
福岡県:博多豚骨ラーメン

写真:筆者撮影
細麺であるため麺が伸びやすく、そのため大盛がなく、代わりに替え玉システムを導入している店舗が多いです。また麺のゆで加減を指定して注文することができます。辛子高菜や紅ショウガなどで味変をしながら食べるのが一般的です。
長崎県:長崎ちゃんぽん

写真:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/index.html)より引用
中国の福建料理である湯肉絲麺(とんにいしいめん)をルーツとしてできた料理だと言われています。
熊本県:熊本ラーメン

写真:熊本県観光連盟(https://kumamoto.guide/)より引用
宮崎県:宮崎辛麺

写真:【公式】宮崎市観光サイト(https://www.miyazaki-city.tourism.or.jp/)より引用
弾力の強さからこんにゃく麺と呼ばれていますが、蕎麦粉と小麦粉で作られておりこんにゃくが入っているわけではありません。具には溶き卵、ニラ、ひき肉を使用するのが定番です。
沖縄県:沖縄そば

写真:沖縄生麺協同組合 | 地域団体商標(沖縄そば)取得団体(https://oki-soba.jp/)より引用
ちなみにソーキそばは、沖縄そばのなかでも三枚肉の代わりにスペアリブをトッピングしたもののことです。
ちょっと珍しいご当地ラーメン4選
1.味噌カレー牛乳ラーメン

写真:青森県観光情報サイトAmazing AOMORI(https://aomori-tourism.com/)より引用
2.冷やしラーメン

写真:筆者撮影
店舗によって夏季限定で提供しているか一年中提供しているかは異なりますので、夏以外に訪れる際はSNSやHPなどでチェックしてください。
3.串木野まぐろラーメン

写真:いちき串木野市総合観光案内所(https://ichiki-kushikino.com/)より引用
生魚はちょっと…という方には、刺身でなくマグロの竜田揚げをトッピングしている店舗もあります。
4.かつラーメン・トンカツラーメン

写真:秋田県小坂町ホームページ(https://www.town.kosaka.akita.jp/index.html)より引用
まずは秋田県のかつラーメンです。スープは醤油、味噌、塩、ピリ辛と店舗ごとに違いがあり、さらにはカツカレーラーメンなんてものもあります。肝心のトッピングであるとんかつも、シンプルにとんかつが加わったものから、卵でとじたカツを乗せたものまで様々です。
次に岡山県のトンカツラーメン(カツラーメン、カツそばとも)。岡山県のトンカツラーメンもスープは醤油、豚骨など店舗ごとに違いがあり、またカツに関しても、とんかつではなく鶏カツを使用している店舗もあります。
そして高知県の味噌カツラーメンです。その名の通り、味噌ラーメンにとんかつがトッピングされたものです。店舗によってはトッピングのとんかつが、大きめのカツを切ったものではなく、一口サイズのカツを複数乗せているものもあります。
山形市はラーメン消費額日本一

写真:新庄市ホームページ(https://www.city.shinjo.yamagata.jp/index.html)より引用
そんな山形県ですが、ラーメン消費額が大きいだけあってご当地ラーメンも多く存在します。前述した赤湯辛味噌ラーメンや冷やしラーメンの他にも、魚介系スープにワンタンもよく合う酒田ラーメン、醬油スープに鶏もつがトッピングされた新庄のもつラーメン、あっさり醤油スープと細打ち縮れ麺に牛チャーシューなど店舗の個性が出るトッピングの米沢ラーメン、蕎麦屋で食べることができ、そばつゆベースの醬油スープを使用した鳥中華などです。
さらに山形県はラーメン店舗数も10万人あたり57.92軒とこちらも日本一ですが、これは2位の新潟県の37.73軒を大きく引き離す店舗数の多さとなっています。
また消費額2位は新潟市だったわけですが、新潟県もご当地ラーメンが豊富なことで有名です。新潟あっさり醤油ラーメン、新潟濃厚味噌ラーメン、燕背脂ラーメン、三条カレーラーメン、長岡生姜醤油ラーメンの5つで新潟五大ラーメンと呼ばれています。
なぜ山形ではこんなにラーメンが人気なのか
もともと蕎麦処であった山形でしたが、1923年の関東大震災で横浜中華街から移ってきた中国人がラーメンを広めたのが始まり、というのが通説となっています。すでに麺文化があった山形ではすぐに馴染み、地域に根付いていったと言われており、現在でもラーメン店以外の食堂や蕎麦屋でありながら、ラーメンをメニューに入れている店は少なくありません。
また山形では、昔からお客様へのおもてなしとして蕎麦やラーメンを出前でとる習慣があり、地域に密着しているお店では今でも出前に対応していることが多いです。出前文化の影響もあり、山形でラーメンは根強い人気があるのでしょう。
さらに先述した冷やしラーメンの存在もあり、暑い夏にもラーメンを食べる人が多いというのも理由の1つです。冷やしラーメンだけでなく、そばつゆベースの鳥中華や肉中華も冷やしで注文できる店舗が多いので、季節に関係なくラーメンを食べる人が多いと考えられます。
ご当地ラーメンが存在しない県はあるのか?

写真:PORTA 山梨県内の情報を届けるポータルサイト(https://www.porta-y.jp/)より引用
しかし地元有志による山梨ご当地ラーメン協会が発足され、2023年11月、遂に「やまなし源水ラーメン」が提供開始されました。源水ラーメンはスープと麺に山梨県の水を使う、山梨県産の淡水魚等のアラや魚をスープに使用する、トッピングも1つ以上山梨県産のものを使用する等、山梨県産の食材を積極的に使用することを共通の原則としています。
また源水ラーメンの他に、こちらも2023年に誕生した「甲州地どりラーメン」があります。甲州地どりラーメンはご当地ラーメン総選挙2023に参加するにあたって、ラーメン店の店主たちが協力して新しく開発したとのことです。甲州地どりをベースにした塩味のスープに、チャーシューにも甲州地どりを使用しています。
山梨県以外で見てみると、あまり有名ではないものもありますが各都道府県にご当地ラーメンは存在するため、2024年現在ではご当地ラーメンが存在しない都道府県は無いと言えるでしょう。
現地まで行けないけど食べてみたい!という方に
ここまで様々なご当地ラーメンを紹介しましたが、実際に現地まで行くのは難しいという方も多いのではないでしょうか。しかし今は便利な時代になったもので、通販などでご当地ラーメンを購入することができます。
ふるさと納税
1つ目はふるさと納税です。ふるさと納税と聞くと地域の特産品として海産物やお肉、果物などを思い浮かべる方もいるかと思いますが、ご当地ラーメンの返礼品もあります。1杯あたりの金額は高く見えるかもしれませんが、ふるさと納税自体がお得な制度なので、ぜひ選択肢の1つとして考えてみてください。
今回ご紹介したご当地ラーメンでも、喜多方ラーメンや尾道ラーメン、博多ラーメンなど多数のご当地ラーメンが返礼品の対象となっています。
通販
2つ目は通販での購入です。冷凍、生麺、乾麺など様々な状態で販売されています。中には有名店舗のご当地ラーメン詰め合わせセットもありますので、どのラーメンが自分の好みかわからないけど食べてみたいという方は、通販で詰め合わせセットの購入も検討してみてはいかがでしょうか。
カップ麵
3つ目はカップラーメンです。有名なご当地ラーメンは既にカップラーメンとして商品化されているものが多数あります。スーパーやコンビニに売っていますので、お手軽にご当地ラーメンを味わいたい方はカップラーメンもおすすめです。
好みに合わせたおすすめのご当地ラーメン
麺の太さとスープの濃厚さから、ご当地ラーメンをざっくり分けると以下のようになります。ぜひ参考にしていただき、好みのご当地ラーメンを見つけてください。
ご当地ラーメン総選挙2023の優勝は酒田ラーメン

写真:日本ご当地ラーメン総選挙(https://www.ramenshow.jp/gr/)より引用
酒田ラーメンは山形県で日本海側に位置する酒田市のご当地ラーメンで、煮干しやトビウオ、昆布などの魚介出汁をベースとした醤油味のスープに、一般的な麺よりもプルプルモチモチした触感の多加水麺、そして極薄皮のワンタンがトッピングされたラーメンです。
ここでも山形県が出てくるあたり、山形県民のラーメン熱は相当なものだと伺えます。
まとめ
今回いくつかご当地ラーメンを紹介しましたが、日本各地にはまだまだご当地ラーメンは数多く存在します。今回触れなかった都道府県にもご当地ラーメンが存在しますし、紹介した都道府県内にも、また別のご当地ラーメンがたくさん存在します。
さらに、ご当地ラーメンと言うほどの知名度はないが地元の食材を前面に押し出したといったラーメンも各地にあり、まさに「ここでしか味わえない」というラーメンは数え切れません。旅行や出張などで訪れる機会があれば、ぜひ本場でご当地ラーメンを食べてみましょう。
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